物価の大幅な低下は、物価・賃金・生産性の経験的な関係から逆算すると、労働投入係数を大きく引下げる可能性がある。いいかえるならば、そうした低物価でも企業が存続するためには労働投入を大幅に節約しなくてはならないという事である。生計費にして一六%(消費者物価指数ベースで換算すると約一八%)の物価引下げが行われた場合には、その結果、経済全体で約一一二〇万人の雇用が節約されることになる。これらの雇用創出効果と雇用節約効果を足し合わせると約一一〇万人分のネットの雇用節約となり、その限りでは失業者が一一〇万人増える計算になる。
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ここで、最近各方面から強く要望されている社会資本整備などの政府投資支出が、たとえば二〇世紀末までに総計一〇〇兆円ほど付加的に行われるとしよう。そうした公共投資支出は一年間あたり一三・七兆円ほどになるが、それは誘発効果をつうじて約二九兆円ほど生産額をふやし、それに伴って新たに約二〇八万人分の雇用機会が創出されることになる。その結果、すべての効果を総合すると約一〇〇万人分の雇用機会がネットで創出されることになり、現存する失業者の大半が吸収されるという超完全雇用状態が達成される。以上は単純化されたシミュレーションの結果であり、いささか大胆な仮定にもとづいた分析であるが、しかし、私達が直面している問題の性質と構造改革政策の可能性とその効果を理解するうえで参考になる。